私道のリスクとは

国や地方公共団体が管理している道路を「公道」と言い、市道や県道、区道などがあります。
一方、個人が所有している道路を「私道」と言います。

何気なく使っている舗装された道路も、詳しく調べてみると「私道」であることはよくあります。「私道」であるかどうかは、見た目ではわからない場合が多いのです。

「私道」は通行してはいけないのか?

「私道を勝手に通った!」と近隣住民とトラブルになったというニュースを目にします。

「私道」は所有者もしくは所有者の許可を得た人しか通行してはいけません。
明らかに人の土地の道路だとわかる場所や、「ここは私道です」と看板が書かれている場所は、もちろん勝手に通行してはいけません。

しかし、建築基準法第42条第1項5号の指定を受けた私道は、一般の人も通行することができます。先に書いた「見た目ではわからない私道」はこの1項5号道路の可能性が高いため、街中をビクビク歩く必要はないのです。

「私道」は自己負担

土地を購入するとき、その土地の前面道路が「公道」か「私道」かは重要なポイントです。
一般的には、「私道」である場合、土地の価格は低くなる傾向にあります。
それはなぜでしょうか?

道路の表面が荒れて、補修が必要になった場合、「公道」であれば管理する国や地方公共団体が対応してくれます。しかし、「私道」は所有者自身が行わなけらばなりません。
また、道路には上下水道やガス管などが埋設していますが、もし水道管にトラブルが発生して道路を掘削する必要が出てきたら、「私道」の掘削費用は所有者が負担しなければならないのです。

分譲地の中の「私道」

「私道」が設定される要因はいくつかありますが、最も一般的なのは分譲地のために作られた道路です。この「私道」の所有形態は大きく分けて次の4つが考えられます。

①土地所有者が道路を共有

前面道路に接している土地の所有者が全員で「私道」を共有している場合です。上下水道やガス管、道路の補修工事は、各共有者が単独で行うことができます。

②土地所有者がそれぞれ所有

「私道」を細かく分筆して土地所有者が一部を所有している場合です。
「私道」を通行する土地の所有者に「通行地役権(土地を通ってもいい権利)」を設定しています。

③不動産業者が所有

分譲地を開発した不動産業者が管理している場合です。
道路に関して問題があれば不動産業者に連絡することで対応してくれます。しかし、開発した不動産業者が倒産する可能性もあります。

④地主が所有

分譲地となる前の土地の所有者(地主)が「私道」を所有している場合です。
「私道」に関して問題があれば地主に相談する必要があります。地主の承諾がなければ工事を行うことができません。

土地を購入する場合、①の場合は「私道」の共有持分、②の場合は「私道(の一部)」の所有権も合わせて取得しないと、トラブルになる可能性があります。また、③や④の場合は、工事をしたい場合の相談者が国や地方公共団体でない分、リスクがあることに気を付ける必要があります。

前面道路が「公道」か「私道」かは重要です

「公道」の場合、問題があれば国や地方公共団体が対処してくれます。
「私道」の場合、問題は基本的に自分で解決しなければなりません。

前面道路が「私道」の場合、これらのリスクをよく理解し、問題が発生した場合は誰に相談しなければいけないか、はっきりさせておく必要があるでしょう。

また、「私道」がある分譲地を購入する場合は、その「私道」がどのように管理されているかも重要なチェックポイントです。