新型コロナウィルスは、私たちの生活を変え、経済にも大きなダメージを与えています。このような状況のなか、不動産の価格はどうなるのでしょうか。
3月18日に地価公示が発表されました。全国的には地価(土地の価格)の上昇が見られましたが、これは2020年1月時点の価格なので、新型コロナウィルスの影響は考慮されていません。
9月頃には地価調査が発表されます。これは2020年7月時点の価格なので、新型コロナウィルスの影響が出た初めての公的な評価結果となります。ただし、この評価の基となる実際の土地の取引自体の数が少なくなっており、もう少し長い目で判断する必要がありそうです。
過去の地価変動から考える
下のグラフは、横浜市西区(横浜駅を含む横浜市の中核区)の地価公示と地価調査の結果から求めた地価指数です。
平成20年(2008年)1月を頂点に地価は下落しており、これは2008年のいわゆるリーマンショックによる影響です。平成23年(2011年)には東日本大震災がありました。地価の上昇が見られたのは平成24年頃からであり、約4年間は地価の下落が続いていたことになります。
横浜市西区の平成20年~24年までの地価公示平均変動率は次のとおりです。
住宅地(%) | 商業地(%) | |
H20~21 | -2.68 | -6.53 |
H21~22 | -4.10 | -7.78 |
H22~23 | -1.67 | -3.06 |
H23~24 | -0.99 | -1.47 |
変動率は横浜市西区のものなので、地域の状況によって大きく異なります。ただし、商業地が住宅地よりも影響は出やすいことは間違いありません。日本の経済と関係性が深い、繁華性の高い商業地ほど、新型コロナウィルスの影響が出ると考えられます。
どれくらいの期間になるか
今回の新型コロナウィルスがどれほど経済に影響を与えるのか、専門家の中でもさまざまな意見があります。
トヨタ自動車の豊田章男社長は、決算会見の中で「今回のコロナショックはリーマンショックよりもインパクトがはるかに大きいと思っている」と発言しています。
もし、リーマンショックよりも大きな影響を与えるのであれば、地価の下落は相当なものになりそうです。
ただし、土地の価格は直近の変動率だけではなく、下落する期間も重要です。リーマンショックなどによって下落した地価がもとにもどるまで約9年かかっています。そのうち4年間は下落しているので、復帰するまでの期間は5年必要でした。
今回の新型コロナウィルスによる影響が長引けば長引くほど、地価にも大きな影響が出るはずです。
市場の予想は
トヨタの決算報告では、「売上高は2021年初頭までに通常のレベルに回復すると予想されている」とも説明されています。
また、2月中旬頃から下がった日経平均株価は3月中旬頃に底を打ち、乱高下しながら徐々に回復してきています。
これらのことを踏まえると、経済の回復はそれほど遅くならないと予想している人が多いようです。もし、新型コロナウィルスが1年程度で収束できれば、地価への影響はリーマンショックよりも小さくて済みそうです。
まとめ
- 住宅地よりも商業地に影響が出る
- 影響を受ける期間が長いほどダメージが大きい
- 1年程度で収束すれば、リーマンショックよりも影響は少ない