不動産の地価は上昇傾向にあります。
2018年3月に発表された公示価格は、住宅・商業・工業の全用途で+0.7%の上昇でした。実際には、地価が上昇している地点と横這い・下落している地点に分かれています。
では、どういった場所の地価が上昇しているのでしょうか?
住宅地に関しては「利便性」が最も重要視されるようになってきました。
この「利便性」について、3つのキーワードから説明したいと思います。
①駅から近いこと
内閣府の調査によると、日本の共働き世帯は1,129万世帯(平成29年)で、昭和55年の614万世帯から上昇し続けています。夫のみが働いている世帯は664万世帯(平成29年)となり、共働き世帯の半分程度となっています。
夫のみが働いている場合、妻は家で過ごす時間が多くあったので、家やその周辺の環境はとても重要なポイントでした。
しかし、共働きになると、家で過ごす時間は減り、夫だけでなく妻も「通勤時間」が発生します。
もちろん「通勤時間」は短いことが理想です。
加えて、子供の保育園の送り迎えがある場合、最寄駅までバスで通勤するといったことは難しくなります。
その結果、「駅から近い」という条件は、「希望条件」ではなく「必須条件」になりました。
神奈川県では、駅に近いほど地価は上昇傾向にあり、バス圏の地域は下落傾向が続いています。
②乗り入れ路線が多い駅であること
住宅の主な購入者は30代から40代の共働きの世帯です。
夫と妻は別々の会社で働くことが普通なので、向かう方向も違ってきます。
夫からも、妻からも通勤の面で都合がいい場所を探そうとすると、乗り入れ路線が多い駅が候補に挙がってきます。
例えば、人気が高い武蔵小杉駅はJRと東横線の2社5路線が乗り入れています。タワーマンションの建設ラッシュになっている海老名駅は3路線が乗り入れています。
「駅から近く」かつ、その駅が「乗り入れ路線が多い」ことが重要です。
③駅まで平坦であること
総務省の統計によると、平成30年7月20日時点の65歳以上の人口は3529万人です。年々上昇しており、今後も上昇が続きます。年齢を重ねると、起伏の多い道は避けるようになるのが普通です。
住み替えを考えたとき、今まで郊外に住んでいた人も、なるべく駅から近い場所を探します。さらに、負担がかかる勾配のある土地は敬遠する傾向にあります。
通勤の負担を減らしたい共働き世帯にとっても、「駅から平坦であること」は重要なポイントになっています。
もともと起伏の多い日本の中で、駅から平坦な土地は多くはありません。その希少性の高さからも人気が上がっています。
まとめ
共働き世帯の増加や高齢化が進んでいるため、「利便性」が高い土地の人気はしばらく続くと考えらえます。
そのため、「駅から近い」「乗り入れ路線が多い」「駅から平坦」といった場所は地価の上昇が続くと予想されます。