横浜市南区は、横浜市のほぼ中央に位置し、西区や中区といった横浜市の商業の中心地に隣接しています。当事務所がある港南区にも隣接し、評価をする機会が多い南区について考えてみたいと思います。
南区の特徴
横浜市南区は、西区など6つの区に隣接しています。面積は12.63㎢で市内18区中2番目に小さい区(1番目は西区で6.98㎢)です。昭和18年12月1日に中区より分区して誕生しました。昭和30年代には宅地開発により人口が急増し、昭和44年に区域南部が港南区として分かれ、現在の南区の形となりました。
区の中心部には大岡川が流れ、丘陵地が多く起伏が大きいことが特徴です。区内には土砂災害警戒区域などのがけ地や狭い道路が多く存在し、人口密度も高いことから、大震災発生時の被害が市内でも多いとされています。
鉄道施設は横浜市営地下鉄ブルーラインの「吉野町」「弘明寺」や京浜急行本線の「黄金町」「井土ヶ谷」駅などがあり、北部には首都高速道路狩場線、西部には横浜横須賀道路が走っています。
南区の人口
南区の人口はほぼ横ばいです。一方、世帯数は増加傾向にあります(世帯数の増加は全国的な傾向です)。また、人口密度は18区内で最も高く、平成27年国勢調査の結果によると、1人親世帯(男親もしくは女親と子どものみの世帯)の割合が、18区内中1位となっているそうです。
横浜市の人口は全体では増加していますが、18区で比較すると、横浜市の商業の中心である西区とその周辺区や東京に近い北部が増加傾向にあります。
南区の地価について
2021年1月1日時点の土地の価格(地価)を示した地価公示価格を見ると、南区の地価は上昇傾向にあります。
2021年はコロナの影響により、他の区がマイナスになる中、南区はプラスを維持できました。なお、コロナ禍でも地価が上昇した区は、人口が増加傾向にある横浜市北部と西区および隣接する区でした。
南区の地価公示地点は住宅地域が19地点、商業地域が8地点の全27地点です。 2021年と2020年の地価公示価格を比較して、 地価が上昇した場所は13地点、変動がなかった場所は8地点、下落した場所は6地点でした。地価が上昇した場所トップ5は次のとおりです。
地域 | 番号 | 地番 | 変動率(%) |
商業地 | 5-6 | 南区高根町3丁目17番20 | + 0.77 |
商業地 | 5-5 | 南区真金町2丁目19番17 | + 0.62 |
住宅地 | 14 | 南区大岡4丁目1460番52 | + 0.49 |
住宅地 | 7 | 南区清水ケ丘205番4 | + 0.48 |
住宅地 | 9 | 南区中村町5丁目310番6外 | + 0.46 |
全27地点の地価変動を地図に示すと次のようになります。
地理院タイルを加工して作成
交通の便があまりよくない、六ッ川地区や永田地区は下落しています。一方、西区や中区に近い北西部は上昇~横ばい傾向があり、南区の中でも地価が上昇する場所と下落する場所に差が出ているのが現状です。
さいごに
横浜市が2015年に発表した「横浜市将来人口推計」によると、少なくとも2030年までには横浜市は人口が減少傾向になると予測しています。南区の現状は横ばい~微増であるため、もう少し早く人口減少が始まるかもしれません。
人口と地価は密接な関係にあり、地価の上昇はその地域の魅力や活力を表すバロメーターです。南区だけでなく、横浜市全体が魅力ある都市であり続けるよう、不動産鑑定士である私たちも考えなければなりません。